NHK受信契約締結承諾等請求事件の最高裁判決を読んでみたのでその感想。
NHK受信料の不払い問題
NHKの受信料の不払い問題は、昔から耳にする割とホットな話題です。グーグル先生に「NHK 受信料 不払い」とポチっとすると出るわ出るわ・・。
かなり根深い問題のようです。
恐らく払わない理由の代表的な意見としては、
「NHKは全く見ないのにお金を何故払わないといけないのか。スクランブルをかけてみる人から取ればいいでしょ。」
「NHKの現在の報道が本当に中立的といえるのかその在り方に疑義がある。」
「受信料で運営されているのに高給取りなのが許せない。」
「不祥事が度々報道されるNHKの企業体質に物申したい。」
「誰かに何か(契約)を強要される社会はおかしい。」
「お金がない。」
などといったものでしょうか。
なかにはNHK受信料を支払わないための最後の手段は「自己破産」とするサイトも。
総金額によりますが、NHK受信料だけでは自己破産は難しいかもしれません。
さて、メディアにも取り上げられましたが、平成29年12月6日付で、最高裁判所が判決を出しましたので、遅ればせながら内容を読んでみました。
NHK受信契約締結承諾等請求事件の最高裁判決中身
まず判決です。興味がある方は全部読まれてもいいと思いますが、結構長文ですので物凄くかみ砕きます・・。
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/281/087281_hanrei.pdf
1 事案の概要
NHKの放送を受信できる受信設備(=テレビ的なもの)を設置していながら、受信契約を結んでくれない人がいたので受信料の支払いを求めました。
2 原審(ひとつ下の裁判所)が認定した事実の確認
⑴ 放送法の概要
大正15年にさかのぼって放送法の歴史の解説と現在のNHKの運営、放送法の意義目的について解説。
受信料の定め方、受信契約の種類の確認もしていますね。
⑵ 被告による受信設備の設置とNHKの契約の申し込み
被告がNHKの衛星系によるテレビジョン放送を受信できるカラーテレビジョン受信設備を設置していること、NHKが受信契約の申し込みをしたことを確認。
3 争点
放送法64条の受信料の定めが、契約を強制する規定ではないこと。
仮に強制する場合には、受信設備設置者の契約の自由、知る権利、財産権の侵害であり、憲法13条、21条、29条に反して無効であることを争っているようです。
4 判断
⑴ 放送法64条1項の性格
受信設備設置者に対して受信契約の締結を強制する規定。受信契約を承諾しない場合には、その意思表示を命ずる判決を求め、その判決の確定によって受信契約が成立する。
⑵ 合憲性
「民主的かつ多元的な基盤に基づきつつ自立的に運営される事業体たらしめるためその財政的基盤を受信設備設置者に受信料を負担させることにより確保するものとした仕組みは、前記のとおり、憲法21条の保障する表現の自由の下で国民の知る権利を実質的に充足すべく採用され、その目的にかなう合理的なものであると解されるのであり、かつ放送をめぐる環境の変化が生じつつあるとしても、なおその合理性が今日までに失われたとする事情も見いだせないのであるから、これが憲法上許容される立法裁量の範囲内~」
つまり、NHKの存在と受信料を国民に広く払わせる仕組みは、国民の知る権利のために重要なものであるし、(インターネットや民放系の台頭といった)環境変化を加味しても、未だその重要性を失わせるものではなく、憲法には違反しない。
そういった仕組みづくり(法律)が不服なのであるなら国会議員を介して社会を変えていく問題である。
と判断しているわけです。
⑶ 受信料の発生時期
判決確定後に契約は成立しますが、受信料は受信設備の設置の月以降の分から遡って発生します。
最高裁判決の感想
判決の確定で契約を成立させることは興味深かったですね。
立法目的が知る権利であるのに対し、違憲性を争う側の権利が財産権に片足置いてあるのは不利でしたね。
裁判所も立法目的の合理性と立法裁量で切ってます。
正直こういった系統の事案は、違憲性を争うのは苦しい事案で、不服があるのであれば、裁判所で争うよりも国会や選挙で争うのに適しているかもしれません。
NHKの受信料を払っていない人は結構いらっしゃるみたいで、私の友人の某弁護士も、「最高裁出ましたけど、テレビあっても引き続き払わなくていいんですよね。」と述べておりました・・。
*きっと某先生は、テレビがあることを否認されるおつもりなのでしょうか。
まあ確かにテレビのあることの立証って難しそうです。
地方にいた身としては、視聴率の取れない局地的な災害は民放がすぐに打ち切るので、NHKの存在はいざというときに有難いですが・・。
高齢の方々も結構見ている方は多いのでしょうか。
NHKの立法問題については国会議員に頑張ってもらうとして、とりあえず、「見たいから払ってもいい。」、「見れないと困る。」、「自分は見ないけど存在は有意義だから税金的に払ってもいい。」と思わせるような報道作りは頑張って行って欲しいです。
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