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弁護士コラム

【弁護士コラム】離婚:子を連れて別居をする際の注意点

離婚
【弁護士コラム】離婚:子を連れて別居をする際の注意点

相模原の弁護士の多湖です。

共同親権の導入による法改正や、昨今の子の連れ去りに関する警察庁や検察庁の動向を踏まえ、未成年のお子さんを育てていて、これから離婚に向けた別居を考えている方が注意すべき点について解説します。


相手方の配偶者の同意なく、子の住居を変更することは避けた方がいい

これまで日本では、他方の配偶者の同意なく、明らかな主たる監護者が子を連れて別居をするということについて、刑事上、民事上、問題とされることは極めて稀でした。

“ほぼなかった”といって過言ではありません。

これに対して、共同親権の導入のためか、ハーグ条約等に照らした国際的な枠組みに合わせるためかはわかりませんが、日本においても他方配偶者の同意なく現状の子どもの居所を変更することについては、警察や検察においても、誘拐罪の適用が議論される時代になりました。


●第213回国会 法務委員会 第8号(令和6年4月5日(金曜日))
https://www.shugiin.go.jp/Internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku%20/000421320240405008.htm

裁判所の動きは行政に比べてまだ鈍いように見えますが、今後裁判例に変更が見られる可能性がありますし、一般の方にとって警察から連絡を受けて捜査を受ける事態は、有罪無罪に関わりなく避けたいところです。

そのため、今後、未成年の子がいて、子どもを連れた別居(自分たちが自宅を退去する)を考えている方は、相手方の明示的な同意なく別居をするということは避けた方が良いです。

また、同意は、LINEでも文書でもいいですが、口頭ではなく必ず証拠に残す形が望ましいです。

相手方の同意が得られない場合の別居の方法

子どもを置いて自宅を出ていきたいのに、相手方の同意が得られない場合はどうすれば良いでしょうか。

子どもに対するものを含めた暴力が明らかで、配偶者保護命令の発令等が得られる場合には、診断書や写真を収集しつつ、警察や児童相談所、弁護士、公設のシェルター等を介入させたうえで、別居をすることは依然として可能と解されています。

しかしながら、配偶者暴力の証拠が十分ではない場合、そのまま別居をすると、結果的に子の連れ去りと評価されかねないため、法的リスクを伴いますので、方針について弁護士と早期に相談をする必要があります。

それ以外の場合では、同居中に監護権者指定の調停及び審判を始め、その結論が出てから別居するということが、今後のスタンダードになるのではないかと予測しています。

家庭裁判所には、別居前の監護権指定の手続きの準備を進めて頂きたいです(現状では、裁判官や調査官の人数など、今後の社会情勢に照らして十分な準備しているとはなかなか言い難い状況ですし、それがスタンダードになると、パンクするのではないかと心配になります)。

ただ、監護権者指定の調停及び審判は、ご本人も弁護士もすごく大変です。
費用も時間(高裁含め1年から2年かかるケースもあります。)もかかります。

仮処分のハードルも極めて高いままです。

別居を考えるなら、「出来る限り早め早めに動きだすこと」が必要で、精神的な本当の限界が来てから、本当にどうしようもなくなってから、「別居」について動き出すのでは遅いです。

普段面倒を見ているかに関わらず、他方配偶者が子どもを連れての別居を認めるというケースは、年々少なくなってきているのが実感です。

そのため、「精神的に耐えられないなら子どもを置いて出ていきなさい。」と言われてしまうことがあり得るということです。

今後、別居を考えている方へ

最近の家族法に関する民法改正や、警察や検察の対応は、最新情報にキャッチアップしている弁護士しか分からない部分があります。

家族法に関する領域は非常にセンシティブで、今後、他の分野に比べ、この分野は最も塩梅が難しい分野になってくるというのが実感で、きっちりと対応できる弁護士がどれだけ残れるのかとも思っています。

お子さんに関する部分は、失敗をしたくない分野ですから、今後、別居を考えている方は、是非早めにその分野の詳しい弁護士にいち早くご相談されることをお勧めします。

以 上

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