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弁護士コラム

詐欺被害と弁護士による詐欺について

その他
詐欺被害と弁護士による詐欺について

みなさん、こんにちは。相模原の弁護士の多湖です。
今日は、詐欺の被害回復を謳った弁護士による着手金詐欺についてです。


●弁護士に着手金払うも対応されず 詐欺の“二次被害”相次ぐ
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240412/k10014420001000.html

NHKニュース


弁護士による着手金詐欺と非弁提携

詐欺に騙されて何百万円ものお金を払ってしまって、警察に駆け込んでも、「お金の回収は弁護士さんに頼んで。」と言われてしまいます。

そこで、慌ててGoogleに「詐欺被害 弁護士」などと打ち込み、弁護士に依頼してみたら、実はその弁護士が悪徳業者とグルになっていて、被害金の回収を依頼したものの、何もしてもらえないまま、ある日弁護士が逮捕されたり弁護士資格を失って、依頼者の方は着手金まで失ってしまうというのが、一連の流れになります。

弁護士が詐欺集団や非弁提携業者に取り込まれる理由

司法制度改革により法曹大増員が行われて久しいですが、ベテランや若手を問わず、弁護士は「食べていける者」「食べていけない者」の二極化が進みました。

食べていけない者の中には、成年後見人の横領疑惑(一定数発生することから、弁護士会が依頼者保護給付金制度を作ったほどです。)や、先日はついに破産管財人まで横領疑惑が発覚してしまいました。絶句の一言です。

●破産管財人務める弁護士が横領か 県弁護士会が調査始める
 https://www3.nhk.or.jp/lnews/gifu/20240708/3080013902.html

 岐阜 NEWS WEB


詐欺集団や非弁提携業者にとって、このような弁護士は格好の獲物のようで、「まさか弁護士が詐欺をするわけがない」という信用を利用します

弁護士もさすがに正面から「私はあなたを利用して騙すつもりです。」などと言いながら近づいてくれば、真意に気づきますが、聞いた手口では、最初は交流会や飲み会等で知り合い、仕事を単発で紹介したりして信頼を得てから、徐々に自分の支配下に取り込んでいくようです。

信頼を得たあるところで、事務所を一緒にやらないかと持ち掛け、エキスパートである我々に任せてもらえれば、「報酬として先生には月〇〇円支払います。」「事務所に来る必要はありません。」などと勧誘するわけです。

本来であれば、「非弁提携」といって、これ自体やってはいけない行為なのですが、「最低限のチェックは先生にお願いしますから、非弁ではないです、大丈夫です。」といって、油断させてしまいます。

そして、ネット広告を使って大量に詐欺の被害者を集めて、着手金をそれこそ数億円と集めて、被害の声が急増して騒ぎになったとこで、弁護士をトカゲのしっぽ切りで切ってしまうわけです。

弁護士も違法行為に関与していることに途中で気づくのでしょうが、どうすることも出来なくなり、最後まで行ってしまうのかもしれません。

詐欺集団や非弁提携に取り込まれている弁護士を避ける方法

1. 弁護士と実際に話をすること

大前提ですが、ネットだけで完結する依頼は避けた方がいいです。
必ず弁護士の実物を見た方がいいです。

IT化の中で、メールやLINEで完結する人間関係を好まれる方が増えましたが、やはりコストカットはリスクを招きます。弁護士は実物を必ず見た方がいいです。

少し会話をすれば、専門的な知識があるか信頼できそうかは、多くの方の場合すぐに分かります。

非弁提携業者の場合、実は知識はすごかったりするので、LINE等では、いくらでも「専門的」に聞こえることは書けてしまいます。

しかし、弁護士の場合は人を騙す訓練は受けていませんから、弁護士に会えば、熱心に詐欺問題に取り組んでいる人かどうか、悪い人達に取り込まれている人物かはすぐに分かると思います。

2. 弁護士が事件処理をしていること

次に、弁護士ではないスタッフがメインで事件処理をしているところは避けた方がいいです。
どの事件もそうですが、弁護士会は、事件処理は弁護士が行うようにと指導をしています。

そのため、法律相談や契約の段階でも弁護士が一切出てこないところや、法的アドバイスを弁護士以外の者が平気でしてしまうところは、非弁提携業者の可能性があります。

3. 見通しが極端に甘いところ

また、事件解決の見通しが「バラ色」「楽観的」なところは避けた方がいいです。

我々、弁護士は「絶対回収できます。」などの断定的な言い回しや、甘い見通しはお話しません。特に詐欺被害は全事件の中でも回収が難しい類型であり、そういう無責任な発言が依頼者の方との後日のトラブルを招くと知っているからです。

逆に、「すぐに全額返ってきますから。安心してください。」とか「私に任せてもらえればバッチリです。専門家ですから。」みたいなバラ色の見通しを述べるということは、とにかく契約さえ出来ればいいという狙いで、後のことは考えていないという可能性が高まります。

4. ホームページの作りがいい加減だったり、他の法律事務所と同じ画像を使い回している

全く違う法律事務所のホームページなのに、画像を使い回していたり、解決実績が同じだったりするのは、同じ業者さんに取り込まれてしまっている可能性があります

また、とにかく問い合わせページにはスペースを割いていますが、事務所理念とか設立の経緯とか、事務所内部の紹介がそもそもなかったりします。

こういったホームページの作りでもある程度分かります。

5. 法律事務所の設立年数の長さ

詐欺を目的として設立されていると、せいぜい逮捕や弁護士資格を失うまでせいぜい2、3年です。その法律事務所が設立されてから5年あるいは10年以上経過している法律事務所であれば、非弁提携業者が設置している法律事務所の可能性は比較的低くなります。

あるいは、複数名が在籍している事務所だと、全員が悪いことをする可能性というのは下がります。

ただ、経営難で、途中で非弁提携業者の方に入り込まれたことが実際に過去にありますので、絶対ではありません。

●東京ミネルヴァ法律事務所を除名 “預かり金25億円不正流用”
 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240219/k10014364261000.html

NHKニュース


そのため、今まで挙げてきた要素を総合して判断する必要があるかなと考えています。
                          

以 上

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