弁護士コラム
企業のトラブルは契約書から
みなさん、こんにちは。相模原の弁護士の多湖です。
昨今、ChatGPTを始めAIが進化を続けています。
法律業界にもAIの波が押し寄せてきています。
判決もそのうち機械が書いて、人間がチェックをすることになる日が来るのでは…などという噂もありますが、”まだまだ機械などには人間も負けないぞ”と頑張りたいと思います。
さて、今日は、企業と契約書のお話。
最近、リーガルフォースさんなど、多くの「AIによる契約書のチェックサービス」がリリースされています。
契約書の足りない条項や、ミスがあるところなど、AIが教えてくれる優れものとのこと。
法務部のある大企業や法律事務所でも、導入している事務所が増えています。
創作性が求められる、新たに発生したビジネス分野を除き、「契約書のチェック」はかなり地道な作業なので、AIなど機械勢にはかなり有利な分野です。
企業にとって、「法的なトラブル」というのは是非とも避けたいものです。
法的なトラブルというのは、損害が大きい反面、ほぼ間違いなく後ろ向きな権利関係の処理となるため、ダメージはそれこそ企業の運命を左右するくらい大きいのに、それを解決することによって利益が得られるものではありません。
いざ法的トラブルが発生すると、代表取締役も人事の方も、現場の担当の方も、それなりに大変な思いをされて弁護士と共に解決していくことになります。
特にこれから起業をしたり、新たな分野を開拓しようと考えている企業様は注意が必要です。
これまで蓄積した経験が企業内部にもないので、トラブルに巻き込まれる可能性が高いからです。
この点、企業の法務トラブルの多くは、”契約書の不備”から来ることが多いです。
特に中小企業では、「信頼」の名のもとに契約書をそもそも取り交わさなかったり、法的に不十分な契約書を使用して、あとで取引先等とトラブルになることが多いです。
多くの担当の方に尋ねると、やはり契約時から違和感や不信感がある場合が多く、契約書にその条項の解決方法について盛り込むとか、法的対策を事前に話し合っておけば、避けられることも多いです。
例えば、もともとの契約については契約書を作成したが、その後の追加契約については契約書を作成しておらず、顧客側は依頼したつもりになっているが、こちらは依頼を受けたつもりがないとか、あるいは依頼をした範囲や金額に争いがある場合などは典型例です。
また、納期や、納入方法、代金の支払期限、支払方法、商品等に瑕疵があった場合、その後の対応の方法など、日本のビジネスは全て契約書主義で契約に従って動きますから、これらをしっかりと定めておく必要があります。
初めて取引をする顧客とのリスクを下げるための取引方法なども考えられます。
企業に生じるトラブルというのも、大半は、個人間のトラブルと総じて変わりはなく、結局、双方の認識の違い、考え方の違い、利害等の違いから生じています。
企業の場合は、日常的に反復継続して活動(法律行為)をするわけですから、個人と違ってトラブルに巻き込まれる可能性というのは桁違いに大きいわけです。
それらの解決を契約書によって定めておけば、双方がその通りに行動しようとしますから、多くのトラブルは避けられることになります。
万一、裁判沙汰になっても、自社に有利にことを運ぶことも出来ます。
そういう意味で、企業法務というのは、「予防法務」に属しています。
「予防法務」とか「危機管理」というのは、利益を生み出さないため、営利企業である企業では日常的には軽んじられやすいのですが、一方でトラブルが生じたときに会社の命運を左右するといっても過言ではない事態がままあります。
大企業でも実例をあげればキリがありません。
中小企業でも同じです。
そういう意味でも、「予防法務にコストをかける」というのは非常に大事なことのように思います。
AIが導き出した答えが正しいかというのは、結局それを使用しているものの判断に委ねられます。
専門的知見を有する法務部のない企業(一般的な中小企業)が、AIによる契約書のチェックをするのは現実的ではないため、顧問弁護士に契約書のチェックを依頼するというのが遥かに現実的です。
以 上
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