弁護士コラム
「小さな一歩」前澤友作氏が立ち上げた養育費あんしん受取りサービスについて。
こんにちは。
相模原の弁護士の多湖です。
先日、依頼者様から、「zozoタウンの前澤さんが始めたという養育費の立替払いサービスってどうなんでしょうか。」と質問されました。
民間会社や、明石市などの自治体、国も含めて、養育費の立替払いに関しては、議論が進んでいるようです。
2020年1月24日の産経新聞の記事ですが「養育費不払い、国が立て替えへ 法相、勉強会で検討」というのもありますね。
一般の方には分かりくい仕組みだと思いますので、ご質問頂いた依頼者様にお答えする意味も込めて、解説しておきます。
養育費の保証サービス
第三者が養育費を立替払いする方法として考えられる手段はいくつかあります。
恐らく一番分かりやすいのは、①養育費請求権を買い取ってしまう方法。
養育費を払ってもらえない人から養育費相当額の代金(多少安めに)を支払って買って、買い取った人から、養育費を払わない人に請求する方法ですね。
ただ、この方法はサービサーといって債権回収代行に当たり得るので、法律で規制されているのでなかなか簡単にはいきません。
そこで考え出したのが、②養育費を払わない人の保証人に(勝手に)なってあげる方法。「もらうひと」ではなく「払わない人」の保証人です。
養育費を払うべき人が、もらうべき人からお金を借金していると考えてもらえればイメージしやすいでしょうか。
住宅ローンとかだと、機関保証にしろ、配偶者による保証にしろ、お互いの合意があって保証人を決めていますよね?
でも、民法の定めでは、本人の同意を得ずに勝手に保証人になってあげることが出来ます。押しかけ保証人ですね。
それで、保証人が代わりに養育費を支払ってあげると、求償権というものを得ます。保証人はあくまで「代わりに」払ってあげただけだから、本来払わないといけない人から弁償してもらう権利があるわけです。
これで、保証人は主債務者(今回は養育費を払わない親)に対して、自分が主体となって請求していく権利を得ました。
これで立替払い的なことが可能になるわけです。
関係法規を見据えてよく練られた仕組みです。
使うためには条件がある。
ただ、保証サービスを利用するためには条件があるようです。
ホームページを拝見していると使うための条件として、養育費の合意を証する文書(調停調書、審判書、公正証書、当事者間の合意書面)が必要とのことです。
また、手数料が発生します。養育費が月払いなら15%、一括払いは25%ですか。
先ほどの産経新聞の記事だと母子世帯の24%しか養育費を受領できていないようですから(これ自体とんでもない数字ですが)、ゼロよりは遥かにいいという発想もあります(この辺は弁護士費用も同じですが、弁護士は養育費自体の立替えまでしてくれませんからね)。
もちろん素直に払ってもらえるのがベストなんですが・・。
何事もそうですが、使うべきかどうかは契約書をよく読んで判断。
冒頭の依頼者様のご質問に戻りますが、「契約書を読ませてもらえないと責任をもって答えられない。」が答えになります。
企業との契約は、契約書が命です。ついつい面倒で読み飛ばしてしまいがちですが、読む必要があります。難しければ相談に来ていただければ見ます。
それはさておき、一般論として、利用者サイドが会社のサービスを利用する上でのリスクは、①払った代金が返ってこないとか、②思わぬ違約金条項があったとかです。
これらがなければとりあえず利用してみるというのはOKだと思います。
①は、保証料の支払いが養育費相当額の支払いから同時に天引きされるなら問題ないと思います。
②については、例えば、うーん。
自分が会社側だったら、「養育費の支払を合意する文書が無効だった場合には支払った養育費相当額を返還しなければならない。」とか「相手方からの回収が全く出来なかった場合には、養育費相当額を一部返還しなければならない。」特約とか考えますかね。
ようは自分が経済的に損をする条項になっていなくて、手数料も納得できるのであれば、デメリットないですから使ったらいいのだと思います。
何事もそうですが、そういった例外規定は良く読んだ方が良いかもしれません。
先鋭的な試み
個人的には、税金は子どもや若者のためにどんどん使うべきだと思っているので、国や自治体が立替えて、滞納処分(執行系で最も強い効力)でも出来る法律を作ったらよいのにと思っています。
ですが、今回のような民間での動きが広がり、養育費の未払いの問題について、社会全体の中で大きなうねりになっていくことを願っています。
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