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弁護士コラム

弁護士が解説する「あおり運転」から身を守る方法

刑事事件
弁護士が解説する「あおり運転」から身を守る方法-1

相模原の弁護士の多湖です。

最近あおり運転のニュースがすごいですね。

今日はあおり運転から身を守る方法について解説します。

あおり運転から逃げようしたら殺人未遂罪に?

例えば、高速道路で無理やり車を止められて、相手の運転手がこちらの車に近づき、車の窓をバンバン叩いてきた場合、皆さんはどうしますか。

まず気を付けなければならないことは、パニックになって、慌てて車を発進させ、相手を車で轢いてしまわないことです。

車の近くにまとわりついている場合、車を発進させれば離れるだろう、大丈夫だろうと思ってそのまま発進すると、足をタイヤで轢いてしまったり、引きずってしまうことがあります。

もし相手に怪我をさせ重傷を負わせてしまった場合、あおり運転の被害者から、傷害罪や殺人未遂罪の被疑者になってしまうことがあります。

轢くつもりが明確になくても「車に人がまとわりついていれば轢いてしまうことは分かっていただろう。」と警察官から言われてしまいます。

これを「未必の故意」といいます。

まずはドアをロックして窓を閉める。

脇道に入ることも、サービスエリアなどに逃れることも出来ない場合で、あおり運転から逃れられず、車を路肩で停車させられた場合、まずはドアをロックして下さい。

そして窓を閉めてください。

道の真ん中では追突の危険がありますから、道端までは少なくとも避難しましょう。

それからハザードを出してください。

相手方が怒ってこちらに近づいてきたかくらいは相手の態度で分かりますから、相手の言い分を聞く必要はありません。

すぐに110番通報して、あおり運転の被害にあったことと、無理やり道路に停車させられ、相手方に襲われそうであることを告げてください。

その後は通報先の指示に従いましょう。

車を蹴られるかもしれませんが、自分が怪我をしたり、相手に怪我をさせたりするより(それで受けるこちらの不利益より)、100倍マシです。

ドライブレコーダーは必ずつける。

車を運転する際には前後にドライブレコーダーを必ず付けてください。

相手がこちらの車を壊したり、そのまま逃走してもナンバーが映っていれば、犯人を割り出すことが出来ます。

また、あおり運転関連の事件で良く出てくる主張が、「相手が先にあおり行為をしてきたのだ。自分こそが被害者だ。」という主張です。

これは本当に多いです。

自分の身の潔白を証明するため、純粋な被害者であることを証明するためにドライブレコーダーがやはり必要です。

前だけではなく必ず後ろも付けてください。

車を発進させることが正当防衛にならないか。

相手方と接触する危険がある場合に車を発進させてもいい場合はあるのでしょうか。

基本的にはないと考えた方が無難です。

日本の正当防衛の要件は極めて厳格です。

簡単にいうと、自分が相手方から生命身体を脅かされる具体的な危険が実際に生じていることが必要です。

例えば、拳銃を向けられているとか、日本刀を構えられているという状態です。

車の外でこちらにワーワーと叫んだり、窓を手のひらなどで叩いている状態では、これに当たりません。

通常は、素手で車を破壊して、中の人に暴行を加えるのは難しいからです。

相手方が鉄パイプを持ってきて実際に窓を叩き始めたとか、そういった切迫した危険があれば、あるいは認められる可能性があります。

よほどでないと認められないということですね。

まとめ

愛車を壊されたりしたら嫌ですから、弁解のために出て行ったり、その場から急発進したくなる気持ちも分かります。

しかし、それで人生を狂わされたりしたらそちらの方が大変です。

逃げられても警察に捕まえてもらったり、後日弁護士に訴えてもらうことも出来ます。

特段の事情のない限り、警察への通報、車から出ないこと、これらが大切です。

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