弁護士コラム
日本弁護士連合会の「養育費新算定表」が離婚調停で通用するか パート2
相模原の弁護士の多湖です。
前に、日本弁護士連合会の養育費新算定表と裁判所で絶大な力を持っている旧算定表の関係を説明しましたが、本日は今後、裁判所での運用が変化するかもしれないというお話。
共同親権もそうですが、民法改正に引き続き、家事事件も大きく動いていますね。
裁判所での運用は本日現在も以下のブログと変わりません。が、変化の兆しがあります。
日本弁護士連合会の養育費新算定表が離婚調停で通用するか
最高裁司法研修所が養育費の算定方式の調査を開始。
今年の8月にニュースになっていましたが、最高裁の司法研修所は今年の7月からの養育費の算定方式の調査を開始したそうです。重い腰の最高裁が動いた・・(驚き)。
東京、大阪の裁判官4名を調査の研究員に充て、来年3月29日までを調査期間とするもの。
東京と大阪は、裁判所が中心と考えている場所なので、本気度が伝わります。
日本弁護士連合会の新算定表は、研究成果としては新しいですから、これはある程度は参考にされると思います。
わざわざ重い腰を上げて調査した結果、「旧算定表通りで何の問題はありませんでした。」といえば、問題があると色々と指摘されている制度にお墨付きを与えたことで、批判を受けるのは必至でしょうから、ある程度上げる見込みがあるから調査を開始したと考えるのが妥当です。
裁判所として現状でいいと考えていれば、触れないのが賢明です。
来年5月に調査報告書がまとめられる見込みだそうですが、いつ頃に発表するのか、算定式の発表までするのか。そこはまだ分かりません。
来年中に、どんなものが出てくるかにもよりますが、算定式に関するある程度具体的な調査結果が出ると、全国の裁判所で運用がガラリと変わる可能性があります。
新たな算定式が出た場合の離婚調停等への影響。
① 旧算定方式を使用しなくなり、今後、全国での裁判所で一律に新しい算定式による養育費や婚姻費用の決定がされるでしょう。
その場合、婚姻費用や養育費が上がる可能性があります。
*次回の発表で最終的な段階まで行かずとも、ある程度試験的かつ具体的な考え方が出てくれば、最高裁の最新の調査結果ということで、審判等で考慮する裁判官も出て来そうです。
② 既に決まっている養育費や婚姻費用に関する増額調停が全国で巻き起こる。
権利者側としては、当然のことながら、今までの約定は不当ということで、新たな算定式による増額調停を起こすことになりそうです。
数万件単位以上でしょうから、裁判所はこの辺をうまく調整しないと申し立てで間違いなくパンクすると思います(今でも家庭裁判所はパンク気味でなかなか期日が入らないですから・・)。
③ 過大な住宅ローン債務を負って離婚した義務者側の場合、自己破産が生じるかもしれない。
婚姻費用と養育費が大幅に上がった場合、深刻なオーバーローンでかつ過大な住宅ローンも支払っている状態の義務者側は、自己破産をして住宅ローンを整理しなければならなくなるかもしれません(今でもたまにお見掛けしてますので)。
*住宅ローンの取り扱いを裁判所がどうするのか注視が必要です。
*養育費は自己破産で免責されません。
来年以降、調停の引き延ばしもあるかもしれない。
養育費や婚姻費用の運用が変わる可能性があるのなら、権利者側としては離婚時期を考えてしまいます(十中八九上がるでしょうから)。
なかには、調停を引き延ばしてその推移を見たいという方もいらっしゃるかもしれません。
全国に大きな影響を与えるでしょうから、最高裁の報告には注視していきたいと思います。
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