弁護士コラム
不倫の立証は、ラブホテルなら写真2回分、自宅なら写真5回分なければダメ…は本当か?
インターネット上での説明
相模原の弁護士の多湖です。
今日はインターネット上でよく見る噂の真偽について。
不倫に関する法律相談をしていると「不倫は探偵さんに写真を撮ってもらわないと絶対勝てないって本当ですか?」「ラブホテルなら写真2回分、自宅なら写真5回分ないとお金取れないって聞いたのですが・・」みたいなお話に良く遭遇します。
弁護士による解説ではありませんが、インターネット上にも同じような表現があふれています。
が、結論からいうとこの質問に対する答えはNOです。
裁判の勝敗は個別の証拠によって決まる
不倫に関する裁判に関わらずですが、裁判の勝敗は、個別具体的な事案における証拠によって決まります。
~の証拠がないと絶対勝てないと断定できる事案はまずありません。
「お隣の~さんから夫が不倫しているって聞きました。」「みんなが妻が浮気をしていると言うんです。」みたいな話では、確かにまず勝てないですが、かといって探偵さんの写真がなければ必ず勝てないわけでもないのです(裁判はそこまで単純ではありません)。
不倫の事実を裁判官に認定してもらい、裁判に勝つためには、必要な証拠は何かを考え、各証拠構造に照らして不足なく立証を組み立てていく必要があります。
ラブホテルの写真は二回分必要か?
ラブホテルから出てくる写真があれば、しかも二回分あれば、それは損害賠償請求をする側からすれば立証が容易になるので、大変有難いことです。
ただ、絶対必要かといわれるとそうではありません。
現に私が写真なしで何度も勝ってますから間違いありません。
相手方が不貞を認めている書面等があればもちろん、録音テープ、ラインやメールのやり取りに尋問を組みわせて勝てる事案はいくらでもあります。
また、二回分必要かといわれると、確かに二回分あった方が慰謝料算定要素としての「不貞の継続性」の立証が容易になるので、あれば便利です。
しかし、「不貞の継続性」はそれ以外の証拠でも立証が可能な場合がありますから、「必ずないといけませんか?」と聞かれると答えはNOということになります。
自宅を訪れる写真が5回分必要か?
ラブホテルと比べて厄介なのは自宅の写真です。
ラブホテルに入ってしまうと「性的行為をしなかった」という主張は特段の事情のない限り、通りません。
「ラブホテル」という存在が性行為をするための場所であり、行為の存在が推認されてしまうからです。
しかし、自宅の場合は確かに単発でその写真だけがあっても難しいところがあり、友人関係でたまたま遊びに行ったと言われると、疑義が生じることがあります。
そのため、意味づけを補うために他の証拠で補完する必要があります。
例えば親密さを伺わせるラインやメールであり、自宅に出入りする写真を示して相手方に交際を認めさせておくのも一つの方法です。
「5回」というのは意味づけを補う(頻度の多さ等から性行為の存在を推認させよう)という趣旨だと思います。
*個人的にはその場合でも短期間に2~3回分あれば十分だとは思いますが・・。
したがって、5回分ないと絶対に勝てないかと言われるとこれについても答えはNOです。
予算と勝訴見込みとのバランスが大事
探偵さんの調査費用については全額が相手方から回収できるわけではありません。
相当程度の調査費用については認めてもらえる裁判例もありますが、それが数百万円に達している場合などは相手方がきっちり争ってきた場合、通らない可能性の方が高くなり、慰謝料がすべて調査費用に消えてしまうという最悪の事態も発生します。
手持ち証拠を見せて頂ければ、ある程度の裁判の見通しは立てられますから、追加で証拠が必要なのか否か、一度ご相談頂ければと思います。
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