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弁護士コラム

自己破産と個人再生と任意整理の違い

債務整理
自己破産と個人再生と任意整理の違い-1

皆さんこんにちは。

多湖総合法律事務所の弁護士の八幡です。

コロナウィルスの流行で生活様式が変わっていく中で、収入状況が悪化したという方もいらっしゃるかと思います。

そのような方の中には、日ごろの家計の収支バランスが崩れ、突然借金の返済に追われることになったという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

本日は、「借金の返済に追われることになり、どうしたら生活再建を行えるのかわからない、何をしたらいいのかわからない」そんな貴方の道しるべとなるようなお話が出来たらと思います。

借金問題に向けた三つの解決策

弁護士を通じた借金問題の解決策には、大きく分けて3つの策があります。

①金融機関と話し合い、分割回数を伸ばして、月々の返済額を減らす策
②裁判所の助けを借りて借金を全て帳消し、借金ゼロの生活を始める策
③裁判所の助けを借りて借金の総額を減らし、月々の返済額を減らす策

どの方法で借金問題を解決するか決めた後、弁護士から各金融機関に受任通知を送り、毎月の借金の取立てを一度止めます。

ひとまず毎月の借金の支払が止まるので、貴方は落ち着いて生活再建に向けた準備を行うことができるようになりますね。

そして、貴方と弁護士は、借金の返済をしなくてよいこの期間を利用して、各解決策の準備や実行をしていくことになります。

金融機関と話し合う方法(任意整理)

この方法は、裁判所の助けを借りない分、準備すべきことが少なく、早く借金問題を解決できる可能性があります。

これは任意整理と呼ばれています。

また、A、B、Cという金融機関のうち、AとBの金融機関とだけ話し合いをするということも可能なので、例えば車のローンの支払はそのままに、他の借金の返済額だけを下げるといったことができます。

これにより、車を残したまま、借金の問題を解決できる可能性があります。

この方法で主に考えなくてはならないことは、「月々の返済額がいくらであれば、余裕のある生活ができるか」ということです。

弁護士と一緒に、月々の収入と支出のバランスを確認し、月々の収入のうち、いくらを借金の返済に回せるのか、一緒に考えていきます。

そして考えた返済可能額の範囲内で、弁護士が金融機関と話し合いを重ねることになります。

この方法は一般的に「任意整理」と呼ばれていますので、この方法で借金問題を解決したい方は「任意整理の相談がしたい」と弁護士に伝えるとよいでしょう。

この方法は、基本的に借金の総額を減らすわけではなく、あくまで話し合いで支払回数を増やすだけなので、貴方が返済すべき借金の総額は変わりません。

また、月々の収入が不安定であったり、支出を抑えることができず返済可能額が低額であると、金融機関が支払回数を増やすことに同意せず、この方法で借金問題を解決できないこともあります。

しかし、たとえ貴方がそのような状況であっても、次の②か③の解決策を検討することができます。

裁判所の助けを借りて借金を全て帳消しにする方法(自己破産)

この方法は、裁判所の助けを借りる分、準備期間も長く必要ですが、金融機関からの借金を完全に帳消しにすることができます。

これは自己破産と呼ばれています。

金融機関からの借金から完全に開放されるため、その後の生活再建を楽に行うことができます。

この方法で考えなくてはいけないことは、「自分はどうして借金の返済に追われることになったのか」「自分の財産としてどのようなものがあるか」という点です。

弁護士と一緒に、これまでの借入状況を振り返り、借金を返済できなくなった原因を突き止めていくことになります。

また、貴方は弁護士と一緒に自分の財産状況を確認し、貴方が一体どれくらいの財産を持っているのか明らかにしていきます。

というのも、借金が返済できなくなった原因によっては、裁判所が借金の帳消しを認めてくれない場合があるからです。

この場合には、この解決策を使えない可能性があるので、弁護士と慎重に話し合うことになります。

また、この解決方法は、貴方が保有している財産の合計のうち、基本的に99万円を超える部分については、裁判所が選任した破産管財人が換価して配当してしまうことが多いため、財産状況を詳細に裁判所へ報告しなければなりません。

ですから、この解決策は、「やむを得ず借金を返せなくなってしまったが、現在ほとんど財産を持っていない」という方に向いてます。

この方法は「個人破産」と呼ばれるものですので、この方法で借金問題を解決したい方は「個人破産の相談がしたい」と弁護士に伝えるとよいでしょう。

この方法の欠点は、貴方の自宅が財産である持家の場合、残念ながらその自宅に住み続けることは出来ないことです。

しかし、貴方の自宅が持家であっても、次の③の方法であれば、自宅に住み続けながら、借金の総額を減らすことができるかもしれません。

裁判所の助けを借りて借金の総額を減らし、月々の返済額を減らす方法(個人再生)

この方法は、個人再生という方法で、②と同じく裁判所の助けを借りる分、準備期間が長く必要ですが、②には無い強みがあります。

それは、自宅に住み続けながら、大幅に借金の総額を減らすことができる可能性があること、そして、借金を返済できなくなった原因は問われないということです。

貴方が自宅に住み続けることを強く望んでいる場合や、借金を返済できなくなった原因を検討した結果②の策での借金の帳消しは難しいとされた場合には、この③の解決策を検討することになります。

この方法で貴方が主に考えなくてはいけないことは、「この先3~5年間、安定した収入を得られるか」「自分の財産としてどのようなものがあるか」という点です。

この方法では、借金の総額を減額し、3年から5年で返済することになります。

例えば、貴方が総額400万円の借金を抱えている場合、これを裁判所の力で強制的に100万円に減額し、3年であれば36回払い、5年であれば60回払いで返済することになります。

100万円を36回払いで返せばよいとなると、月々の返済が3万円弱となりますから、毎月10万円近くの返済に悩まされていた方などは、月3万円を3年間であれば、余裕をもって借金を返済できると安心できるのではないでしょうか。

自宅を残す場合、たとえばこの月3万円に加えて、これまでどおり自宅ローンを払って生活することになります。

このような返済プランを裁判所に報告するため、貴方は弁護士と、自分の収入状況について吟味することになります。

実は、この裁判所の力による強制的な借金の減額には限界があります。

その限界の1つは、貴方の保有財産の総額以下には減額ができないというものです。

例えば、先ほどの例で、貴方が総額400万円の借金を抱える一方、150万円分の財産を保有している場合、借金は150万円までしか減額できません。

したがって、150万円を3年から5年で返済することになり、3年の36回払いだと月々4万円強の返済を行うことになります。

そのため、貴方は弁護士と一緒に自分の財産状況を確認し、貴方が一体どれくらいの財産を持っているのか確認することになります。

この方法は、「個人再生」と呼ばれるものですから、この策で借金問題を解決したい方は「個人再生の相談がしたい」と弁護士に伝えるとよいでしょう。

なお、自宅不動産に住宅ローン以外の抵当権が付けられている場合、この解決策によっても自宅に住み続けることはできません。

したがって、ご自宅の抵当権の状況を確認するため、弁護士との相談時に必ず自宅不動産の最新の登記事項証明書を持参してください(登記事項証明書は、お近くの法務局で簡単にとることができます)。

最後に

借金の返済に悩む一方で、①「任意整理」、②「破産」、③「個人再生」という言葉は、どれも貴方にとって身近な言葉ではなく、自分が関わるとなると、怖いとさえ感じる言葉であろうと思います。

しかし、借金の返済に悩み続けるのは辛く苦しいことです。

無理して心や体を壊しては元も子もありません。

弁護士に相談することで、少なくとも貴方は本日ご紹介した3つの解決策を、弁護士と一緒に検討することができます。

本日のお話が、借金の返済に悩む貴方の生活再建への道しるべとなったならば幸いです。

お気軽にご相談ください。

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