弁護士コラム
これって離婚できますか。離婚できるのはどのような場合?
先生、これ離婚できますか。
離婚の法律相談でよく聞かれるご質問の一つです。
答えは簡単です。「相手方が離婚届けにハンコを押してくれれば離婚できます。」
と、答えると怒られてしまいそうですが、事実相手方が離婚に応じてくれれば、離婚事由なんて関係ありません。
これが、「協議離婚」です。
相手が離婚に応じてくれない場合
①相手方に離婚する意思はあるけれども、離婚条件(親権や養育費、財産分与)で折り合わないため、相手方が離婚届けにハンコを押してくれない。
②離婚する意思が全くない。
この場合は、協議離婚が出来ないので、家庭裁判所に対し離婚調停を起こす必要があります(調停前置主義)。
①の場合は、弁護士と男女一名の調停委員が全力で説得した結果、離婚条件が折り合い、離婚成立に至るという事例は多いです。
②については、相手方次第ですが、第三者に言われて心変わりされる方も一定数いらっしゃいます。
それでも絶対離婚には応じられない。
そう言われてしまうと、訴訟しかありません。
しかし、訴訟には強制力がありますので、原告が勝った場合、被告の意思に反して強制的に離婚させることになります。
そのため、民法は離婚事由を定めていて、裁判官はこの離婚事由の有無を判断して、離婚させるか否かを判断します。
主な離婚事由
主な離婚事由は以下のとおりです。
①不貞行為(民法770条1項1号)
ご存知のとおり、不倫です。やっぱり弁護士に依頼が来る離婚原因の4割くらいは不倫な気がします。
不貞行為は、「自由な意思にもとづいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶこと」(最判昭和48年11月15日)とされていますが、性的行為とは「姦通行為」をいいます。
なので、どんなに仲が良くて、手をつないだり、キスをしたり、映画を見たりという行為があっても不貞ではありません。
これらは、民法770条1項5号の該当性の問題になります。
②悪意の遺棄(民法770条1項2号)
悪意の遺棄とは「正当な理由がないのに、同居、協力、扶助の義務を履行せず、夫婦生活を継続する意思の認められないこと」をいいます。
額の争いにとどまらず生活費を全く渡さないとか、家を出てずっと戻ってこないとかがこれにあたります。
なお、有責配偶者に対して、同居及び扶助義務の履行を拒絶することは、悪意の遺棄に当たらないという判例があります(一般の方には、意外に知られてないかもしれません。不倫されて別居されて必ずしも婚姻費用を払わなければいけないわけではないということです。)
③3年以上の生死不明(民法770条1項3号)
④不治の精神病(民法770条1項4号)
これは、配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがない場合をいいます。かなり厳しく認定されます。
離婚が認められるためには「諸般の事情を考慮し、病者の今後の療養、生活等について、できるかぎりの具体的方途を講じ、ある程度において前途にその方途の見込み」がつくことが必要とされています。
ようするに、生活の目途がある程度立っていないといけないということですね。
⑤その他婚姻を継続しがたい重大な事由
これが一番よく問題になる離婚事由です。
簡単にいえば、第三者である裁判所からみても、「婚姻を継続させられないほど既に婚姻関係が破たんしているか否か」です。
破綻しているか否かで考慮される要素は
ア お互いの離婚意思
イ 長期間の別居
ウ 暴行虐待
エ 犯罪行為
オ 不労・浪費・借金等
カ 性生活の問題
キ 精神的疾患を含む疾病・身体障害(4号にあたらない場合)
ク 過度の宗教活動
ケ 性格の不一致、結婚観、生活観の違い等(これだけでは難しい場合が多く、あくまで要素の一つです。)
とされています。
具体的場合に、離婚請求が通る見込みがあるか否かは専門的な判断ですので、当法律事務所へご相談ください。
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