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弁護士コラム

【弁護士コラム】共同親権の導入で気を付けなければならないこと

離婚
【弁護士コラム】共同親権の導入で気を付けなければならない

こんにちは。
相模原の弁護士の多湖です。

2024年5月17日に、参議院本会議で共同親権法案が可決されてから、5か月余りが経過しました。

共同親権は、2026年5月までの施行を予定しています。


※共同親権については、3月末に掲載した「離婚と共同親権について」
https://www.tako-law.com/column/2024-rikon-2/
も参照ください。


共同親権の導入で大きく変わるであろう二点について、私なりに考えてみました。

再婚時のお子さんの身分関係

一つ目が、再婚時のお子さんの身分関係です。

今までは、単独親権だったため、子の親権を取得した親が、再婚をした場合に再婚相手との普通養子縁組を望んだ場合には、子が15歳未満であっても、その単独親権者の同意によって養子縁組をすることが出来、離婚した他の配偶者の同意は不要でした。

しかし、共同親権の施行後は、15歳未満の子の養子縁組には親権者の承諾が必要であるため、離婚した相手の承諾を取り付ける必要が出てきます

養子縁組は、実親の親権を失わせる強力な身分行為ですから、「離婚時に共同親権を望んで選択し、その後の子との関係が良好に推移していると考えている」と考えている者からすれば、そのような養子縁組を承諾するわけがありません。

養子縁組の承諾については、家庭裁判所の審判で行うことも出来ると謳われていますが、結局、新しい養親との共同親権に服した方がいいのか、それまでの実親との共同親権に服した方がいいのか、親子の生活環境、子と実親との関係性、面会交流の実施状況、これまでの共同親権の行使状況等を踏まえて、調査官等の調査を要し、お互いが弁護士を付けて攻撃防御を尽くせば、裁判所が結論を出すにはかなりの長期間を要する可能性が高いです。

もっとも、「養子縁組をしてしまうと養育費の支払いが受けられないこと」から、もともとあえて養子縁組をしない方も一定数いらっしゃったこと、子が15歳に達すれば、この問題は生じないことから、本当に困ってしまうケースは少ないかもしれません。

子を連れて別居をするときの取り扱い

二つ目が、子を連れて別居をするときの取り扱いです。

私が知っているところでも、妻が子どもを連れて別居をする際に、別居に応じない夫が警察に通報したことで、警察が警察署に両親と子らを連れていき、その際に警察官から“相手方配偶者への無断での別居が「子の連れ去り」にあたり、「刑事事件として誘拐に当たる可能性がある」と指摘されたというケースが既に何件か報告されています。

離婚前はもともと共同親権であるため、厳密には、相手方配偶者の承諾を得ない子を連れた別居と、離婚後の共同親権の法改正とは関係しないのですが、影響する可能性は否定できません。

離婚後も共同親権が適用されるのであれば、父母双方が親権を取得する前提になるわけで、離婚前の別居の際も、家庭裁判所などで、離婚後にどちらと一緒に暮らすのか公平な判断の機会を与えなければならず、それを与えなかったのであれば、そのペナルティーは受ける必要があるというロジックが成り立つ可能性があるからです。


他にも、いくつかの警察署の案件で、妻がこどもを連れ去ったと通報があった際に、警察官が駆け付けたのち、両親と子らを警察署に集め、子の監護に関する問題を両親に話し合わせ、「両親の話し合いがまとまらなければ、子らを児童相談所に送り、一時保護措置を行うと告げられるということ」が報告されています。

その際に警察官から、

(1) 同居中の自宅に戻るか、
(2) 交代監護
(例えば、子が2週間おきに父母の自宅を往来して住む場所を変える監護方法をいいます。)を受け入れるか、
(
3) 児童相談所に子どもを送るか

を選択せよ、という話をされたということです。


これらは、いずれも他に暴力やネグレクトの疑いのない(相手方からも訴えがないです。)、普通のご家庭です。

しかし、相手方配偶者に対する無断での別居それ自体を“虐待の疑いあり”として、一時保護の理由とされたケースが発生しています。


別居の際に、保護命令を得ないでシェルターに入ろうした方に対しても、住所を教えないで子を連れて行くのは問題だと指摘されたケースもあります。(但し、こちらはたまたま担当した警察官が法律に詳しくなかった可能性もあります。)

これらの傾向は今までの離婚実務ではなかった傾向であり、これらが共同親権の可決に伴う影響なのか、子の連れ去りに関するハーグ条約等の海外の情勢に伴うものか、あるいは子を連れた別居に関する国会議員の方の働きかけの結果なのか、あるいは一定地域の警察署独特の行動なのかは、私にはまだ分かりません。

ただ発生していることは事実です。


今までは、主たる監護者がやむを得ない事由に基づいて別居する場合、刑法上の誘拐罪を適用したり、子を児童相談所で保護するという運用はされてこなかったはずですが、共同親権下においては、この傾向が強まる可能性もあるため、これから別居を考えている方は、今後の関係諸機関の動向に注意が必要です


まだ全く分かりませんが、今後、このような警察の動向が全国的に広がるのであれば、自分が子を連れて別居をしたい場合、「連れ去り」と言われてしまうリスクを徹底的に避ける必要があります。


そのためには、

(1) 配偶者保護命令等の発令とシェルターへの入所を並行して行う。
(2) 家庭裁判所において、監護権者指定審判
(家庭裁判所が子の監護者を定める手続き)をして自分に監護権者を指定してから別居をする。

というのが、安全な別居の方法になっていきそうです。


ただ、監護権指定は非常に費用も時間もかかります。
別居について相手方配偶者の同意が得られない場合、悩ましい選択になりそうです。


仮に監護権をどちらかに指定できる保全手続等がありますが、非常に厳格な要件が課されています。

立法府においては、そのため子の手続きが別居の際にも使えるように、早急に要件緩和を考えていただく必要があるかと思います。


以 上

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