弁護士コラム
グーグルマップの口コミに200万円の賠償命令
皆さんこんにちは。
相模原の弁護士の多湖です。
インターネット上の地図サービス「グーグルマップ」上の口コミで一方的な悪評を投稿されたとして、兵庫県尼崎市の医療法人が投稿者に損害賠償を求めた事案で、大阪地方裁判所は200万円の損害賠償命令を下しました。
2024年6月3日 東京新聞 TOKYO Web
この記事を初めて読んだ時の感想は「200万円は結構高く出たな。欠席判決かな。」というものでした。判決理由も記事に書かれているので、欠席判決ではなさそう…。
このグーグル口コミは非常に問題で、これまでも、飲食店等でも“単に気に食わない”という理由で、嫌がらせの口コミを書くということが多くありました。
法律事務所も例外ではなく、特に扱う案件が紛争事案であるため、例えば特に恨みを買いやすい離婚事件等の相手方が嫌がらせで根拠なく悪い口コミを書くという事案は散見されます。“自分の言うことを聞かないと悪い口コミを書くぞ”と脅してくる方もいます。
法律事務所の場合、そもそもそういうネガティブな書き込みをする人物が限定されるため、投稿者を特定すること自体は難しくないですが、飲食店や医療機関の場合、不特定多数者が相手になるため、その特定をするためには法的手続きが必要で、それなりの費用が掛かります。
名誉毀損や業務妨害の慰謝料は数十万円代と、これまで相場自体が低かったため、特定して裁判にかけても経済的な損害の填補という点では、非常に費用対効果が悪く、泣き寝入りして来た事業者が多かったのですが、200万円の慰謝料を認めた大阪地裁の判断は、良い傾向です。
高等裁判所に控訴があった場合、高等裁判所は保守的な判断をすることが多いのですが、この慰謝料額は是非維持されるべきです。
昨今、有名人や企業に対して、匿名性を盾にネット上で無責任な誹謗中傷を行う風潮が広がっていますが、ネットの先には現実の人間がいます。「フルネームを明かして書き込めないこと」や、「目の前に発言する相手がいたら言えないこと」は、ネットにも書き込むべきではないように思います。
事業者に対する誹謗中傷の口コミに対する集団訴訟も動いているようですが、こういう悪質な口コミに対しては、泣き寝入りせず、一丸となって訴訟活動を行い、多くの経済的代償を払う行為だということを広く知ってもらう必要があります。
グーグル等も自社で発行したアカウントを濫用してこのような違法行為を行っている特定人物に対しては、アカウントの凍結、今後アカウントを作らせない等の措置を執ることが必要になってくるように思います。その点も併せて運動していく必要があろうかと存じます。
引き続き裁判所には、現代の大きな社会問題としてこの問題に向き合って頂ければと思います。
以 上
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